「彼女」が急遽手術をすることになったらしい。
「俺…あいつの側についててやりたいんだ」
先輩の言葉に私は全てを察した。気付かないふりをして
『大変でしたね、それじゃあまたの機会に』って
言えればいいんだけど、私の損な性分はそれを許さない。

「先輩、まるで同性のあの人のこと好きみたいに見えます」

自分でも気付いていなかったのだろうか。先輩は声を詰まらせ、
しばらくの間黙り込んでしまった。
認めるのが恐いのね?だけどそれは私も同じことなのよ。
男の子に負けたなんて…認めたくはないもの。

麻酔が覚めたとき、まず心配そうに覗き込んでいる
ケンちゃんと目が合った。
困ったような照れてるような不思議な表情。
…もしかして、ずっとそばにいてくれたの?
一時的に帰って来たパパとママを前に、お医者様が説明をしている。

あたしの腹痛は、おなかの中にたまっていた月経の血が
原因だったらしい。もう少し放っておいたら子宮がだめに
なってたかもしれないって…

あたしは、女の子だったんだね。

よく調べてもらったら副腎に生まれつきの病気があって、
そのせいで男の子みたいな身体つきになっていたんだって。

どんなに望んでも手に入れられないと思ってた女の子のからだが
あたしの中にあったなんて………
まるで、『青い鳥』のお話みたい。

あたしはそれから二度の手術を受けて、ケンちゃんはそのたび
付き添ってくれた。
尿道の位置に問題があってもっと大きな手術が必要になると
いうので、あたしのおちんちんはそのままになっている。
だけど今はもう、あえて切ろうとは思ってない。
だって、ずっと一緒に育って来たあたし自身だし…
なによりケンちゃんとおそろいなんだもん。エヘヘ。

「あたしね、ケンちゃんのことが大好きだよ」
「んなっ…いきなり何言ってんだよ」

だって、本当のことだもの。
長い間口に出せずにいた言葉…
どんなにあなたが照れたって、何度も言ってあげる。
これからも、ずっとずっと。

+マエ+ +モドル+ +ツギ+

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